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【論文解説】なぜBFR×ピラティスは顧客を離さないのか?低負荷・短時間で「結果」を出し、満足度を高める生理学的根拠

2025年11月17日
投稿者 : フィットネスコンサルティングネットワーク編集部

はじめに:ピラティススタジオ経営における「見えざる壁」

 

ピラティススタジオは、健康意識の高まりとともに、多くの人々にとって魅力的な選択肢となっています。特にリフォーマーなどのマシンを用いたピラティスは、その洗練されたイメージと効果への期待から、多くの投資家や経営者が参入し、市場は拡大を続けています。しかし、その華やかな市場の裏側で、多くのスタジオが「顧客の定着率」、すなわち「退会率」という深刻な課題に直面している現実をご存知でしょうか。

 

顧客がジムやスタジオを離れる理由は様々ですが、フィットネス業界全体で見ても、特に大きな要因の一つが「効果の停滞」や「効果を実感できない」ことです。ピラティスも例外ではなく、むしろその特性上、この「効果の停滞」という壁にぶつかりやすい側面があります。本稿では、なぜピラティス顧客が効果の停滞を感じやすいのか、そしてその課題を克服し、顧客満足度を高めて「離さない」スタジオを作るための鍵として、科学的根拠に裏打ちされた「BFR(Blood Flow Restriction:血流制限)トレーニング」導入の有効性を、最新の論文知見を交えながら、投資家・オーナーの皆様に向けて分かりやすく解説します。

 

 

ピラティス顧客が直面する「効果の停滞」という壁

 

ピラティス、特にリフォーマーピラティスは、体幹の安定性向上、姿勢改善、柔軟性向上、インナーマッスルの強化といった点で優れた効果を発揮します。マシンが動きをサポートし、個々のレベルに合わせた負荷調整が可能であるため、初心者から経験者まで幅広い層に受け入れられています。

 

しかし、その一方で、顧客が継続する中で「効果の停滞」を感じ、モチベーションを失ってしまうケースが少なくありません。その背景には、ピラティス特有の性質が関係しています。

 
1. 効果実感までのタイムラグ:

ピラティスは、身体の深層部にあるインナーマッスルに働きかけるエクササイズです。そのため、見た目の変化や筋力向上といった「分かりやすい結果」を実感するまでに時間がかかる傾向があります。特に週1回程度の頻度では、「本当に効いているのかな?」「体が変わっている気がしない」と感じ、効果への疑問から継続意欲が低下してしまうことがあります。

2. 運動強度と達成感の限界:

ピラティスは、高重量を扱うウェイトトレーニングや高強度インターバルトレーニング(HIIT)と比較すると、運動強度自体は高くありません。そのため、息が上がるほどの運動量や、筋肉がパンパンになるような強い疲労感(パンプアップ感)を得にくく、特に運動経験者やより強い刺激を求める顧客にとっては「物足りない」「やった気がしない」と感じられ、達成感を得にくい場合があります。

3. マンネリ化と飽き:

どんなに優れたエクササイズでも、慣れてくると刺激が薄れ、「飽き」が生じやすくなります。ピラティスもエクササイズのバリエーションは豊富ですが、基本的な動きに慣れてしまうと、単調さを感じてしまう顧客もいます。

 

これらの「効果の停滞」に関連する要因は、顧客満足度の低下に直結し、最終的には「退会」というスタジオにとって最も避けたい結果を招きます。安定した経営を目指す上で、この「効果の停滞」という壁をいかに乗り越えるかが、極めて重要な戦略的課題となるのです。

 

 

BFRトレーニング:低負荷・短時間で「結果」を出す科学

 

この「効果の停滞」問題を解決する鍵として、近年、スポーツ科学やリハビリテーションの分野で注目を集めているのが「BFR(血流制限)トレーニング」です。BFRトレーニングとは、専用のカフ(ベルト)を用いて腕や脚の付け根の血流を適切に制限した状態で行うトレーニング手法です。

 

BFRトレーニングが画期的なのは、「低負荷・短時間」でありながら、高負荷のトレーニングと同等の「結果」(筋肥大・筋力向上)を引き出すことができる点にあります。これは数多くの科学的研究によって裏付けられています。

 

 

科学的エビデンス①:低負荷で驚きの筋肥大・筋力向上効果

 

通常、筋肉を大きくしたり強くしたりするためには、最大挙上重量(1RM)の70%以上といった高負荷でのトレーニングが必要とされています。しかし、BFRトレーニングに関する多くの研究、システマティックレビュー、メタアナリシスによると、1RMの20~40%という非常に軽い負荷であっても、BFRを併用することで、高負荷トレーニングと同等の筋肥大効果、およびそれに近い筋力向上効果が得られることが一貫して示されています。これは、重い負荷を扱えない高齢者やリハビリ期の患者はもちろん、より効率的に結果を出したいと考える健康な人々にとっても、非常に大きなメリットです。

 

 

科学的エビデンス②:短時間でも効果を発揮

 

BFRトレーニングのもう一つの大きな利点は、その時間効率の良さです。多くの研究で、1回あたりわずか5分から10分程度の短時間のBFRトレーニングでも、筋肥大や筋力向上に有効であることが示唆されています。これは、ピラティスのセッションの前後に組み込むことを現実的にし、顧客にとっても継続しやすいという利点があります。

 

 

なぜ低負荷・短時間で「結果」が出るのか?その生理学的メカニズム

 

軽い負荷と短い時間で、なぜこれほど顕著な効果が得られるのでしょうか?その鍵は、血流制限によって引き起こされる特殊な生理学的環境にあります。

 
1. 代謝ストレスの増大:

カフによって静脈血の流出が制限されると、筋肉内に乳酸や水素イオンなどの代謝物が急速に蓄積します。この強い「代謝ストレス」が、筋肉の成長を促す強力なシグナルとなります。

2. 成長ホルモン(GH)等のアナボリックホルモン分泌促進:

蓄積した代謝物、特に乳酸は、脳下垂体を刺激し、成長ホルモン(GH)の分泌を強力に促進することが知られています。GHは、筋肉の合成(アナボリズム)を高める重要なホルモンであり、IGF-1(インスリン様成長因子1)などを介して筋肥大をサポートします。

3. 速筋線維の動員:

通常、軽い負荷の運動では、主に持久力に優れた遅筋線維が使われます。しかし、BFRによって筋肉内が低酸素状態になると、より大きな力を発揮する速筋線維(特にタイプII線維)が、通常よりも低い負荷で動員されるようになります。速筋線維は筋肥大のポテンシャルが高いため、これが低負荷での筋肥大に貢献します。

4. 細胞膨張(パンプアップ)と筋タンパク質合成:

血流制限により筋肉内に水分が引き込まれ、細胞が一時的に膨張する「パンプアップ」が起こります。この細胞の物理的な膨張自体が、筋タンパク質の合成を高め、分解を抑制するシグナルとなる可能性が示唆されています。

 

これらの要因が複合的に作用することで、BFRトレーニングは低負荷・短時間であっても、高負荷トレーニングに匹敵する「結果」を生み出すことができるのです。

 

安全性について
BFRトレーニングの効果は魅力的ですが、安全性への配慮も不可欠です。適切な資格を持つ指導者の下で、個々の健康状態を確認し、正しいプロトコル(カフの幅、圧迫圧、負荷設定、時間など)を守ることが重要です。特に血栓症のリスクについては懸念の声もありますが、複数のシステマティックレビューでは、適切な実施下においてはBFRトレーニングが血栓リスクを有意に高めるというエビデンスはないと報告されています。ただし、高血圧や血管系の既往歴など、禁忌となるケースも存在するため、導入前のメディカルチェックは必須です。

 

 

BFR×ピラティスが顧客を離さない理由:科学的根拠に基づく相乗効果

 

では、なぜBFRトレーニングをピラティスに組み合わせることが、顧客の「効果の停滞」感を打破し、満足度を高め、結果としてスタジオから離れにくくするのでしょうか?

 

その理由は、ピラティスが持つ本来のメリット(コアの安定性、柔軟性、姿勢改善)と、BFRがもたらす「低負荷・短時間での明確な結果(筋肥大・筋力向上)」が、互いの弱点を補い合い、顧客体験を劇的に向上させるからです。

 
1. 「効いている感」による早期の効果実感:

ピラティスだけでは得られにくい、BFR特有の筋肉の張り(パンプアップ感)や心地よい疲労感は、顧客に「今、筋肉が使われている」「トレーニングが効いている」という即時的な感覚を与えます。これは、効果実感までのタイムラグを感じやすいピラティスにおいて、トレーニング初期のモチベーション維持に極めて有効です。「ちゃんと効いている」という実感が、継続への意欲を支えます。

2. 「結果」による達成感と満足度の向上:

BFRトレーニングによってもたらされる明確な筋力向上や、わずかながらも早期に現れる可能性のある筋肥大は、顧客にとって目に見える「結果」となります。ピラティスだけでは物足りなさを感じていた顧客も、BFRトレーニングを組み合わせることで、より早く、より明確な身体の変化を実感でき、「頑張った分だけ結果が出ている」という達成感と高い満足度を得やすくなります。

3. ピラティス効果の最大化:

BFRによって向上した筋力は、ピラティスの動作をより正確に、より深く行うことを可能にします。例えば、脚力や腕力が向上することで、リフォーマーの動きをよりコントロールしやすくなり、ターゲットとするインナーマッスルへの刺激を高めることができます。これは、ピラティス本来の効果をさらに引き出し、顧客の目標達成を加速させます。

4. マンネリ化の打破と新鮮な刺激:

いつものピラティスセッションに、BFRという新しい要素が加わることで、トレーニングに変化と新鮮さが生まれます。「今日はBFRで追い込もう」「ピラティスの前にBFRで筋肉を目覚めさせよう」といった新たな楽しみ方が、顧客の「飽き」を防ぎ、スタジオへの関心を維持します。

 

このように、BFRトレーニングは、ピラティスが抱えがちな「効果の停滞」感を科学的根拠に基づいて解消し、顧客が「結果」を早期に実感し、高い満足度と達成感を得ることを可能にします。これが、BFR×ピラティスが顧客をスタジオに「離さない」強力な理由となるのです。

 

 

投資家・オーナーへの視点:なぜBFR導入は賢明な投資なのか

 

BFRトレーニングの導入は、単に顧客満足度を高めるだけでなく、スタジオ経営に直接的な利益をもたらす戦略的な一手となり得ます。

 

  • 退会率の劇的な低減: 顧客満足度と効果実感が向上すれば、当然、退会率は低下します。これは、スタジオにとって最も重要な経営指標の一つであり、安定した収益基盤の構築に直結します。
  • LTV(顧客生涯価値)の最大化: 顧客が長くスタジオに通い続けることで、一人当たりの売上(LTV:LIFE TIME VALUE)が最大化されます。これは、新規顧客獲得コストと比較して、はるかに効率的な収益向上策です。
  • 競合との明確な差別化: 「科学的根拠に基づいた効果的なトレーニング」を提供できるBFR導入スタジオは、一般的なピラティススタジオとの明確な差別化を図ることができ、市場での競争優位性を確立できます。
  • スタジオのブランド価値向上: 最新の科学的知見を取り入れ、顧客の「結果」にコミットする姿勢は、スタジオの信頼性とブランドイメージを高めます。

 

BFR導入には、専用のBFRトレーニングベルトの購入や指導者向けの研修・年会費など、初期投資が必要です。しかし、それによって得られる退会率の低減、LTV(顧客生涯価値)の向上、そして競合優位性を考慮すれば、これはスタジオの持続的な成長と収益性向上のための、極めて合理的な戦略的投資と言えるでしょう。

 

 

結論:科学的根拠で「効果の停滞」を打ち破り、顧客を離さないスタジオへ

 

ピラティススタジオ経営において、「効果の停滞」は顧客離脱を招く静かな、しかし深刻な問題です。しかし、本稿で解説したように、BFRトレーニングという科学的根拠に基づいたアプローチを取り入れることで、この壁を乗り越えることが可能です。

 

BFRトレーニングは、低負荷・短時間でありながら、筋肥大や筋力向上といった明確な「結果」を顧客にもたらします。これをピラティスと組み合わせることで、顧客は早期に効果を実感し、高い達成感と満足度を得ることができます。これは、ピラティスだけでは満たしきれなかったニーズに応え、顧客の継続意欲を強力に刺激し、退会率を低減させるための有効な戦略です。

 

スタジオ経営者、そして投資家の皆様。顧客が「結果」を求め、そして「効果の停滞」によって去っていく現実から目を背けることはできません。BFR×ピラティスという、科学的エビデンスに裏打ちされた新たな価値提供は、貴スタジオを顧客から「選ばれ続ける」「離さない」存在へと進化させる、強力な一手となるはずです。ぜひ、この可能性をご検討ください。

 

 

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