設備投資だけでは差がつかない時代に

ここ数年、フィットネスジムの数は大きく増加しました。
都市部はもちろん、地方でも複数のジムが並ぶような状況になっています。
その結果、多くのジムオーナーが感じているのが「差別化の難しさ」です。
・マシンを増やす
・設備を新しくする
・内装をきれいにする
もちろん大切なことですが、近くに大手の24時間ジムができた場合、この方法だけで対抗するのは簡単ではありません。
資本力のある企業ほど、設備投資を継続できるからです。
では、小規模ジムはどこで差をつけるべきなのでしょうか。
最近よく聞かれるのは、「結果」と「時間効率」です。
利用者側の意識も、以前のように
「とりあえず運動できればいい」
という考え方から、
「できるだけ短時間で、しっかり効果を感じたい」
へと変わりつつあります。
この流れの中で、現場のトレーナーの間でも少しずつ話題になっているのが、BFRトレーニング(血流制限トレーニング)です。
ジムを辞める理由は「きつさ」よりも時間
ジムの退会理由を見ていくと、意外と多いのが
「忙しくて通えなくなった」
というものです。
もちろん運動が合わなかったケースもありますが、実際には「時間の問題」で離脱してしまう人は少なくありません。
例えば、一般的なトレーニングを考えてみます。
60分のトレーニング
自宅での準備、着替え、移動、シャワーなどを含めると、実際には1時間半〜2時間ほど必要になることもあります。
最初はやる気があっても、仕事や家庭の予定が続くと、この時間を確保するのは簡単ではありません。
45分のトレーニング
かなり現実的な設定ではありますが、平日の夜に通うとなると、やはり負担を感じる人も出てきます。
30分のトレーニング
このあたりから「通いやすい」と感じる人が増えてきます。仕事帰りでも時間を作りやすくなるためです。
15分前後
ここまで短くなると、心理的なハードルは大きく下がります。
「少し寄って帰る」という感覚に近くなり、習慣化しやすいという声もよく聞かれます。
現場で会員を見ていると、長く続く人ほど「無理のない時間設定」をしているケースが多い印象があります。
なぜBFRは短時間でも成立するのか
通常の筋力トレーニングでは、筋肉に十分な刺激を与えるために、ある程度の負荷やトレーニング量が必要になります。
短時間だけで同等の効果を得るのは、簡単ではありません。
一方、BFRトレーニングでは、専用ベルトで血流を適度に制限した状態でトレーニングを行います。
その結果、軽い負荷でも筋肉が強い刺激を受けた状態になりやすく、通常より短い時間でもトレーニング効果を感じやすいとされています。
実際に体験した人の感想として多いのが、
「短時間なのに、しっかり運動した感覚がある」
というものです。
トレーナー側から見ても、短時間セッションが成立することは大きなメリットです。
なぜなら、セッション時間が短くなることで、同じスペースでも提供できるトレーニング数が増えるからです。
これはジム運営において、見逃せないポイントです。
短時間体験が集客の入口になるケース
あるパーソナルジムでは、体験メニューとして「15分のBFRセッション」を用意しました。
きっかけはシンプルです。
「忙しくてパーソナルに通えない」
という声が多かったためです。
実際に15分体験を始めてみると、
「これなら通えるかもしれない」
という反応が多く見られました。
短時間でも筋肉の張りや血流の変化を感じやすく、そのまま入会につながるケースも増えたそうです。
さらに興味深いのは、既存会員の変化です。
忙しい時期に
「今日は15分だけにしましょう」
と提案すると、完全に来なくなる人が減ったといいます。
小さな変化ではありますが、長期的には退会防止につながる可能性があります。
フランチャイズや多店舗経営での考え方
複数店舗を運営している場合、BFRのようなトレーニング手法には、運営面でもいくつかのメリットがあります。
まずはスペース効率です。
トレーニング時間が短くなることで、同じ面積でもセッション回数を増やせる可能性があります。
次に、指導の再現性です。
トレーニングプロトコルがある程度確立されているため、トレーナーごとの経験値に依存しすぎない運営がしやすくなります。
さらに、対象層の広さも特徴です。
・高齢者
・運動初心者
・美容目的の女性
といった層にも提案しやすいトレーニングです。
設備投資だけに頼らない経営
ジム経営というと、どうしても
「どんなマシンを導入するか」
に目が向きがちです。
もちろん設備は重要ですが、それだけで差別化するのが難しい時代になっています。
むしろこれからは、
・どのようなトレーニング体験を提供できるか
・どれだけ通いやすい仕組みを作れるか
といった点が、ジム選びの理由になるケースが増えていくでしょう。
BFRトレーニングは、その一つの選択肢です。
設備ではなく、技術と指導力で差を生み出す方法と言えるでしょう。
