フィットイージーと海津市が締結、災害時の避難場所提供に関する協定
近年、企業に求められる役割は単なるサービス提供にとどまらず、地域社会にどのように貢献できるかという点へと広がっています。特に防災意識の高まりを背景に、「日常」と「非常時」をどうつなぐかは、多くの企業にとって重要なテーマとなっています。今回ご紹介するのは、フィットネス施設を軸に新たな地域貢献の形を示した取り組みです。
2026年3月26日、岐阜県海津市とフィットイージーが「災害時における緊急避難場所の提供に関する協定」を締結しました。この協定は、地震や大規模火災といった災害発生時に、同市内のフィットネス施設「FIT-EASY海津店」を避難場所として活用するというもの。約440㎡のスペースを活かし、シャワー設備の利用や状況に応じた飲食物の提供など、避難生活を支える機能が提供されます。
注目すべきは、この取り組みが“特別な設備”ではなく、“日常的に使われている場所”を活用している点です。フィットネスジムは、健康づくりの場として多くの人が日々利用する、いわば地域に根ざした「サードプレイス」。その空間が、いざというときには人々の安心を守る拠点へと役割を変える——この発想は、今後の防災のあり方に新たな視点を与えてくれます。
海津市は「生涯繁盛」を掲げ、すべての世代が元気に暮らせるまちづくりを推進してきました。地域のつながりを大切にしながら活性化を図るその姿勢と、フィットイージーが掲げる「新たなフィットネス文化の創造」というビジョンは、方向性として非常に親和性が高いといえるでしょう。実際、2025年には包括連携協定が結ばれ、健康増進の分野での協働がスタートしていました。
今回の協定は、そうした関係性の延長線上にあります。日常的な健康づくりの支援にとどまらず、有事の際にも地域を支える存在へと進化していく。この流れは、フィットネス施設の新たな価値を示しているともいえます。
また、企業側にとってもこの取り組みは大きな意味を持ちます。全国に多数の店舗を展開するフィットイージーにとって、各地域に点在する拠点は、単なるビジネスの場ではなく、社会インフラの一部として機能し得るポテンシャルを秘めています。実際、これまでも断水時の支援や施設開放といった取り組みは行われてきましたが、今回のように行政と正式な協定として結ばれるケースは、今後のモデルケースとなる可能性があります。
さらに、この事例が示すのは「地域密着」の本質です。単に店舗を出店するだけでなく、地域の課題に寄り添い、共に解決していく姿勢こそが、これからの企業価値を高める鍵となります。フィットネスという一見、防災とは異なる領域が、実は人々の生活基盤を支える重要な役割を担えるという点は、多くの企業にとって示唆に富むものです。
日常の中にある場所が、非常時には命を守る場所になる。このシンプルでありながら力強い発想は、持続可能な地域づくりのヒントともいえるでしょう。今後、こうした取り組みが全国に広がることで、「安心できるまち」のあり方も大きく変わっていくかもしれません。
企業と地域が手を取り合い、日常と非常時の垣根を越えて支え合う社会へ——。
フィットイージーと海津市の取り組みは、その第一歩として、今後も注目していきたい事例です。
