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コラム COLUMN

激化するピラティス市場。「採用」が成否を分ける

2026年03月02日
投稿者 : フィットネスコンサルティングネットワーク編集部

街を歩けば、新しいスタジオの看板が目に飛び込んでくる。SNSを開けば、美しいウェアに身を包んだインフルエンサーが優雅にポーズを決めている。 今、ピラティス業界はかつてないほどの熱気に包まれています。まさに「第2次ブーム」の到来。経営者として、この波に乗らない手はありません。

 

けれど、現場に立つ皆さんは、この華やかなブームの裏側で、ある深刻な「頭痛の種」を抱えているのではないでしょうか。 集客? いえ、違いますよね。物件探し? それもなんとかなる。 一番の問題は、「人」です。インストラクターが、採れない。

 

求人広告を出しても反応がない。面接に来ても条件が合わない。ようやく採用できたと思ったら、すぐに辞めてしまう。 「箱(スタジオ)は作れても、中身(人)がいない」。 これが今、多くの経営者を悩ませている現実です。

 

今回は、この決して避けては通れない「採用難」という壁をどう乗り越え、勝ち抜いていくか。その突破口について、少し本音で語らせてください。

 

 

忍び寄る「人手不足」という名の絶望

まずは、目を背けたくなるような現実を直視することから始めましょう。 「人手不足」という言葉、もう聞き飽きたかもしれません。でも、実際の数字を見ると、背筋が凍る思いがします。

 

総務省が発表したデータをご存知でしょうか。2023年、日本の人口は前年に比べて約83万7000人も減少しました。 83万人です。ピンとこないかもしれませんが、これは山梨県や佐賀県の人口が、たった1年で日本地図からまるごと消滅してしまったのと同じ規模なんです。 毎年、一つの県が消えていく国。私たちは今、そんな場所で商売をしているのです。

 

さらに恐ろしいのは、私たちのビジネスを支える「働き手(生産年齢人口)」の激減です。 働き手は1995年をピークに減り続け、今は7400万人を割りました。2040年にはさらに1000万人以上がいなくなるという予測もあります。

 

これが何を意味するか、もうお分かりですよね。 「条件さえ良くすれば、いつか良い人が来る」なんて考えは、もはや幻想だということです。

 

特にピラティスのインストラクターは、一朝一夕に育つものではありません。解剖学を頭に叩き込み、複雑な身体操作を身につけ、それを他人に教える。そんなスペシャリスト、ただでさえ希少なのに、この人口減少です。 経験者の奪い合いは、まさに「戦争」。大手が札束で殴り合うような給与競争に、これから参入するスタジオが勝てるはずもありません。

 

では、指をくわえて見ているしかないのか? いいえ、そこで諦める必要はありません。視点を変えれば、道は拓けます。

 

 

救世主となる「プレコリオ」という選択肢

この絶望的な採用環境において、私たちが持つべき武器。それが「プレコリオ(Pre-Choreography)」です。 これまでの常識を、一度捨ててみてください。

 

「インストラクターは、何年も修行した熟練者でなければならない」 「プログラムは、インストラクター自身が毎回考えるべきだ」

 

この固定観念が、あなたの首を絞めています。 プレコリオとは、あらかじめ楽曲と振付(コリオグラフィー)がパッケージ化されたプログラムのこと。これを取り入れることで、採用の景色はガラリと変わります。

 

なぜか。それは、「教えるためのハードル」が劇的に下がるからです。

 

これまでは、すべての動きを完璧に実演でき、理論を一から組み立てられる「職人」しか採用できませんでした。 でも、プレコリオがあれば、プログラム構成はすでに完成されています。世界中の専門家が監修した、科学的根拠のあるシークエンスが手元にあるのです。 インストラクターは、「次はどの動きにしよう?」と悩む必要もなければ、すべての難解なポーズを自らの肉体で完璧に見せ続ける必要もありません。

 

こうなると、採用のターゲット層が一気に広がります。 これまでは書類選考で落としていたような、「ピラティス未経験だけど、ダンスが大好きで元気な学生」や、「子育てがひと段落して、また身体を動かす仕事がしたい主婦」が、輝ける原石に変わるのです。

 

「専門的な知識がないと不安だ」と思いますか? 大丈夫です。プレコリオというしっかりした「型」があるからこそ、未経験者でも短期間の研修で、一定以上のクオリティのレッスンを提供できるようになる。 これは、枯渇する労働市場において、眠っている人材を掘り起こすための「最強の武器」なんです。

 

 

「無人スタジオ」の甘い罠

ここで、意地悪な質問を一つさせてください。 「プログラムが決まっていて、お手本の映像もあるなら、インストラクターなんて要らないんじゃないか?」 「最近流行りの無人スタジオでいいじゃないか」

 

そう思いますよね。 24時間営業、人件費ゼロ、低価格。 オープン時の宣伝文句としては最高です。「いつでも好きな時にピラティスができる」なんて、忙しい現代人には夢のような響きでしょう。 実際、オープン当初は会員が集まります。物珍しさもあって、入会通知が止まらないかもしれません。

 

でも、私は断言します。 無人スタジオの多くは、早晩、壁にぶち当たります。

 

なぜなら、人間は「飽きる生き物」だからです。 そして、人間は「弱い生き物」だからです。

 

どんなに素晴らしいプログラム映像でも、相手は機械です。 「今日はちょっと疲れたな」「雨が降っているから面倒だな」と思ったとき、無人のスタジオはあなたを引き止めてくれません。 画面の中のモデルは、あなたがサボっても叱ってくれないし、頑張っても褒めてくれません。

 

ピラティスは、自分自身の身体と向き合う、とても繊細で、時として孤独なワークアウトです。 それを一人で、黙々と続けられる人は、よほどの強靭な意志を持ったごく一部のアスリートだけ。 普通の人は、すぐに飽きます。「いつでも行ける」は「いつまでも行かない」になり、最終的には「行かないのにお金を払うのは無駄だ」と気づいて、退会ボタンを押す。 これが、無人スタジオが陥りやすい「負のサイクル」です。

 

 

私たちが売るのは「動き」ではなく「情熱」

ここで改めて、プレコリオを使う「生身のインストラクター」の出番です。 むしろ、プレコリオがあるからこそ、インストラクターの本当の価値が輝くと言ってもいいでしょう。

 

先ほど、プレコリオを導入すれば、インストラクターは「動きを見せること」や「次の順番を考えること」から解放されると言いました。 では、解放されて余ったエネルギーをどこに使うのか。

 

それこそが「キューイング」、つまり会員さんへの「声かけ」です。

 

動きを見せなくていい分、インストラクターはスタジオの中を自由に歩き回れます。 会員さん一人ひとりの顔を見て、汗を見て、震える筋肉を見ることができます。

 

きつくて諦めそうな会員さんのそばに行って、「あと3回!ここが変わり目ですよ!」と大きな声で励ます。背筋がスッと伸びた瞬間に、「今の姿勢、最高に美しいです!」と満面の笑みで褒める。 動きに迷っている人がいれば、そっと手を差し伸べてサポートする。

 

これなんです。会員さんが求めているのは。 正しいポーズの解説書が欲しいのではありません。「私を見てくれている」「応援してくれている」というライブ感が欲しいのです。

 

スタジオが流行るかどうかの分かれ道は、インストラクターの「笑顔」と「声」にかかっています。 大きな声で指示を出し、ポジティブな言葉のシャワーを浴びせ、会員さんの「楽しい!」「もっとやりたい!」という気持ちに火をつける。 この熱量は、どんなに高性能なAIにも、4K画質のモニターにも生み出せません。

 

プレコリオは、インストラクターを「動きの展示係」から、会員の人生を豊かにする「モチベーター(応援団長)」へと進化させるツールなのです。

 

 

選ばれるスタジオになるために

人口は減り続けます。競争は激しくなります。 そんな時代に、私たちが勝ち抜くための方程式。それは決して難しいものではありません。

 

まずは、採用のハードルを下げましょう。「完璧な技術者」を探すのではなく、「人を笑顔にできる素質」を持った人を探すのです。プレコリオという武器があれば、技術は後からついてきます。

 

そして、教育の質を変えましょう。 難しい解剖学の講義も大切ですが、それ以上に「どう声をかければ人が喜ぶか」「どう盛り上げればスタジオが一体になるか」という、接客と情熱の伝え方を教え込むのです。

 

スタジオの流行を作るのは、最新のマシンでも、豪華な内装でもありません。 「あの先生に会うと元気になる」 「あそこで汗を流すと、明日も頑張ろうと思える」 そう思わせてくれる、人間味あふれるインストラクターの存在です。

 

テクノロジー(プレコリオ)で効率化し、人間(インストラクター)の熱量で差別化する。 仕組みで楽をして、心で汗をかく。

 

これからのピラティススタジオ経営に必要なのは、そんなしなやかさではないでしょうか。 さあ、あなたのスタジオでも、新しい風を吹かせてみませんか。採用の悩みから解放され、会員とスタッフの笑顔で溢れるスタジオを作る準備は、もうできているはずです。

 

 

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